プライマリーが弱点なのは別体だけではなく、ユニットも同じ。
作りは別体よりマシですが、消耗はどんどんしていきますし、中には相当酷いものも。

いや、コレは酷い。よくコレで走れてましたねと。
ハウジングセンターのリングが外れており、ガタが出ていたのも相まってハウジングごとズッコケてました。
ルーズローラーベアリングはキズまみれ、ダンパーハウジングのスプラインがわけのわからない段付き摩耗、ハウジングが棚落ちしているので当然プライマリーチェーンのテンションはダルダル、テンショナーロッドは玉砕寸前でオマケにマグネットローターにもガタが出ており吹っ飛ぶ寸前。
いわゆる、全滅というやつですね。

例によってキックラチェットナットも緩んでおりメインシャフト動きまくっておりましたので、チェックも含めてミッションも全分解。

私的にはこういうのは嫌い。

バラす前から気づいておりましたが、クラッチのオペレーティングの角度が何かおかしい。

過去に折れて溶接痕あり。角度がでたらめなことにより、クラッチケーブルも撚線何本かささくれておりました。
よし、全部やり直し!
このブログを見ながら、「俺のバイクは買ってから一回もプライマリー開けてないなー」 とか、「最近、クラッチに違和感があるなー」という人はチェックのために一回開けといたほうがいいかもしれません。
当然、私のバイクではないですし、無理強いはしませんので、オーナー様ご自身でご判断くださいませ。
トライアンフは遊びの道具であると同時に文化遺産でもあると私は思っています。
生かすも殺すもオーナー次第ですね。
- 2017/05/08(月) 21:56:31|
- 修理
-
| トラックバック:0
-
トライアンフの弱点と言いますか、最も消耗の激しい部分はどこかと問われると「プライマリーです」と迷わず答えます。
皆さんあまり気になさっていないようですが、バラしてみると自分が思っているより蝕まれているのが現実です。

クラッチの違和感、それはそろそろプライマリー開けとけよ、というシグナルです。
開けてビックリ、カバー外した瞬間に鉄の破片が大量に落下してくるということも絶対にないことではない。しかしこんな状況でも一応走れてしまうのが恐ろしいところで、気づくのも遅れてしまうという現実。
歯周病みたいなもんで、歯が抜けてからでは遅いってことですね。

鉄くずの正体はクラッチハウジングのスポットで止めてある円状の板。こんなもんが外れるのかねと思いましたが、実際に外れているので外れるんでしょうね。クラッチスプリングは締めすぎですね、しかし。

カバーはヘドロと鉄くずで汚いですが、大きなダメージはなくて良かったです。

クラッチダンパー付近はガタガタでダメなので全部やり直し。当店オリジナルのS氏製作スペシャルワッシャーが活躍するところです。活躍の場を広げてますねー。
センターナットは緩んでおりました。ケミカル利用してちゃんと締めとけよ、ホントに。

オルタネータの配線は後ろから出ており、スプロケットにやや接触気味で危機一髪。

オイルシールの向きが逆。

タブワッシャーは曲げたいのか曲げたくないのかわからん中途半端な感じで、ナットはトルク不足。

キーは薄いやつが入っており、遠心力で外側に移動して全く引っかかっておらずローターはクランクシャフト上でフリー回転しておりました。発電してたのか?いや、してないだろうな、コレは。
全部やり直し決定。オーナーと相談の上、ついでにミッションもやり直し決定!
- 2017/05/08(月) 21:31:32|
- 修理
-
| トラックバック:0
-
クラシックトライアンフの修理はもちろんそうですが、輸入車は基本的に二輪四輪問わず今も昔も特殊工具なしでは突っ込んだところまで整備できないというのがセオリーです。
トライアンフの整備もやりますよ的な店は全国にたくさんあるように思いますが、イジるなら最低限パーツリストとマニュアルとハンドツールと軽めの特殊工具ぐらいは揃えてからやりやがれ、ボケナスが!と私は思っていませんが浜松あたりではそういう意見もあったりしますので、一応この場をお借りしてお伝えしておきます。
ま、何かと色々あったほうが便利なことは間違いないですよね。

コレを特殊工具と言っていいのかどうかわかりませんが、特殊な用途なので特殊工具ということにしておきましょう。
エキパイを外した時にアダプターが緩んでいることがよくありますが、ドライバーごときで締めたところでまた緩んできます。ロッカーボックスが邪魔で締めにくいところでもありますのでガチ締めできる工具は自作するより仕方がないってことです。

構造はこんな感じです。ソケットを旋盤で削って穴を開けただけですが、1/2のスピンナーハンドルで締めれるので便利なことこの上なし。ボルトは無駄にハイテンボルト。

エキパイアダプターのネジ山には保険でカジリ防止グリスを塗ったりしております。
上はヤッコの耐熱カジリ防止グリスで、下はフォルクスワーゲングループ純正のホットボルトペースト。気分で使い分けますが、どちらも似たようなものです。

売っているものは買ったほうが早いというのが持論ですが、無いものは嫌でも作らざるを得ないのでしょうがなく作っております。
これは一部でほかにも何だかんだとあります。
こんなに色んなものが必要で考えることも多くて肉体的にも精神的にもかなり大変で、なんだかめんどくさい仕事を選んでしまったなと後悔しておりますが、考え始めるとロクなことがないので、あまり考えないようにして日々作業しております。
- 2017/05/07(日) 21:08:25|
- その他
-
| トラックバック:0
-
ゴールデンウィークは天気が良かったので皆さんバイクで出かけられることが多かったと思います。

さて、そんなゴールデンウィークに岡山から当店に向かっている途中に何だか違和感を感じたものの、そのまま突っ切って店に到着する寸前でクラッチが切れなくなり、あえなくそのまま入院した68ボンネ。
ギリギリたどり着けたのが不幸中の幸いかと。
よくありがちな話ですが、キックラチェットナットが緩んでおりました。
タブワッシャがあるので完全に緩んでしまうことは少ないのですが、今回はタブワッシャごと緩んでしまっており、クラッチレバー握ってもメインシャフトと共にクラッチハウジングが動いてしまっていたということで、わりと珍しいパターン。

「オイルも漏れてるのでインナーカバーまで開けときますよ」と言ってお預かりしたのですが、キックギヤのストッパーピンが鬼ユル手スポだったので、どっちみちインナーカバーは開けねばならんかったということです。

一旦リーマーで穴を拡大したのちに嵌め合い3/100mmオーバーサイズのストッパーピンを旋盤で製作。カバー全体を程よく暖めてオイルリーク防止及びガチ固定のためにロックタイト嵌め合い用高強度を塗ってカチ込んでおきました。
簡単に書いていますが、まあまあめんどくさい作業だったりしますので、バラしたときにココが抜けていると気分が沈み込みます。
その他のパーツはコンディションもよろしい感じでしたので、底に溜まったヘドロを綺麗に清掃して、各パーツ達に「あと10年頑張ってこい!」と声をかけ、オイル漏れ対策を施して閉じておきました。
ゴールデンウィークも休まずに黙々と作業しておりましたので、どこか違う日にシレっと休んでやろうかなと目論んでおります。
- 2017/05/07(日) 20:34:02|
- 修理
-
| トラックバック:0
-