一年に一度、それもなぜか冬にやっている気がするユニットUS2.5ガロンタンクのこねくり回し作業。

長らく使用されていないのと過去の状況も不明なので、穴が開いているのではという恐怖感を払拭するために一旦全剥離でチェック。
赤の下から青、青の下から赤、赤の下から軽めのパテ、というGORE-TEX3レイヤー顔負けの3層コートでかなり大変。

中は錆もほぼなく最高なのですが、フロントのスタッド部分は樹脂で固めての一時的な修理が施されておりましたのでキッチリ修理し直すことにします。
2.5ガロンタンクは純正の程度の良いやつがほぼ無い状況なので、修理できそうなのはなるべく修理して使いたいところです。このタンクの弱いところはこの前側のスタッドの部分、あとは後ろ側のステーもたまに折れたりします。よくクラックが入る所はセンターモールが引っかかる前側の三つの鉄板を溶接しているところですかね。
比べてUS3.5ガロンとUKタンクは溶接が上側までグルッとやってあるので後ろ側ステー折れにくいのと前側スタッド部分も傷んでるやつが少ないイメージ。
いずれにしてもタンクマウントのラバーをカチカチなる前に交換するのが大事ですね。
2.5ガロンのリプロはありますが、厳密に言うと少しだけ形が違うので意見の分かれる所。頑丈さはリプロに軍配が上がりますが。

変わってコチラはT140及びTR7US2.8ガロンのリプロのタンク。インド製ではなくUKメイドです。
このタンクはマジでよく出来てます。というか当時のプレス型で作っているのではないかというぐらいのハイクオリティですね。オリジナルと見分ける箇所はあるのですが、パッと見はほぼ区別できないぐらいのモノです。
T140のタンクは傷んでるやつが少ないので出番が少ないリプロパーツではありますが、ここまでよく出来てると、オリペンのは置いといてカスタムペイントしたい時に使うにはいいかもしれません。
とかいいながらもいつの間にかこのタンクもバックオーダーになってしまい、次はいつ生産するのか…。
タンクに関しては世の中の現状がこんな感じなので、別体ユニット問わずオリジナルタンクは今後大事にしないといけないですね。
- 2017/02/24(金) 22:45:03|
- 作業
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2月12、13日は私用で出かけますので休ませていただきます。
申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。
私の携帯番号を知っておられる方は、緊急の場合、そちらにかけていただければおそらく出れると思います。
- 2017/02/10(金) 21:07:30|
- お知らせ
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50年代のバイクだと生産からもう60年ぐらい経過している。T140とか比較的新しいと思っていたら、うっかり40年ぐらいは経過しております。アルミの鋳物はヒートサイクルを繰り返して酸化しまくりで地味にサクサクになってきております。

アリエルのクランクケースのカバースクリュー部分を全てヘリサートしてみました。かろうじて生きている部分もあったのですが、もはや時間の問題だろうと思い、結局合計で11発ヘリサートしました。このあたりの戦前車になってくるとマジでアルミがサクサクです。ケースの合わせ面も歪みたおしており、カバーも歪んでいるのでヘリサートの加工もずれないようにするのがかなり難しいです。最終的にカバー側も少しいじって何とか完了。なかなか苦労しました。

先日、汚いなーとか言いながら洗浄していた当店で私が勝手にじわじわと組んでいる70年のボンネですが(一応は売り物です)、アイドラーシャフトがほんのりユルい以外は程度は極上です。しかしこのクランクケースもあと何十年か経てばアルミがサクサクになってしまうのかなとチョット思ってしまいました。
形あるものはいつかは崩れ去るのですが、そろそろハリスがクランクケースとか作らないとマズいのではないかと思います。ユニットはまだいいですが別体はマジで作ったほうがいいかもしれません。
クランクシャフトはさらに急務で650のまともなヤツがかなり無くなってきております。メインベアリング部が減っていてローターキー溝も破損して更にリグラインドも限界間近みたいなやつは修理するより新品があれば交換してしまったほうが安くつきそうな気がします。
精度はともかくとして、クランクケースが販売されているハーレーが少し羨ましかったりします。あるだけマシってことですよ、ホントに。
- 2017/02/07(火) 21:02:09|
- 修理
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そんなつもりじゃなかったのに、気が付けば全然違う作業をしている。そんなことが日常的によくあります。別に作業中に頭がおかしくなって違うことを始めだすとかそういうことではなく、バラすと想像以上に各部が酷かったりしますよってことです。

タイヤ交換のつもりがホイール外すとホイールベアリングが終わっており、タイヤ交換するよりベアリング交換のほうがはるかに時間がかかってしまったということはよくありがちな話です。ガタが出ているというレベルをはるかに超えたところにある錆だらけのベアリング、危険極まりない。
トライアンフのフロントホイールは57年に7インチフルワイズが登場してフォークの下側でクランプするタイプになります。以降大体似たような作りなのですが、片方のベアリングがフリーでテキトーにどの位置でも決まってしまうという構造ゆえにシャフト自体が減りやすように思います。シャフトが減っている場合はベアリングを新品に交換しても減っているシャフトとベアリングの間でガタが出てしまいますので、ベアリング交換の際はシャフトも要チェックです。ちなみに57年の8インチは片ハブなのですがフォークのボトムでクランプするタイプでワンイヤーオンリーの作りです。このタイプのアクスルシャフトは現在のところリプロがないので、シャフトが減っている場合は非常にめんどくさいことになります。恐ろしいことにパネルも57年だけ違うということで。
画像のベアリングプーラーは一流メーカーのものでクソ高いのですが、各部ノーダメージでベアリング交換が出来てしまうゆえに重宝しております。プロ向けのスペックなので工具自体が壊れてしまうということも今のところはありません。さすがは高いだけのことはある。

フロントがダメということはリヤもダメということで。フロントよりはだいぶマシですが、ダメなものはダメなので交換。
コニカルハブのリヤは実は二種類あり、左側のロックリング部分の形状が違うというのはマニア向けのお話だったりします。SSTも通常やつでは合いませんので、当店は愛情ゆえにソレ用の専用工具を作りました。

そしてブレーキシューの組み方が間違っております。マニュアルには向きがきちんと載っているのですが、そんなことはお構いなしでこんなことになってます。誰が組んだのか知りませんということはなく実は知っていたりするのですが、基本的にバイク屋という職業はリーディングトレーリングの概念がないアホでも出来る職業なので、大事な自分のバイクがいつのまにか滅茶苦茶にされてしまうということがよく起こります。私的には世の中の半分以上のバイク屋が信用できませんので、当店が半分以上のところに入っているかどうかは別として、簡単にバイク屋を信用しないようにしましょう。
当初やる予定以上の作業になってしまい、結果料金が高くついたということがよくありますが、クラシックバイクはお金がかかる乗り物だということは近年常識になったきたりしておりますので覚悟してお乗りください。
- 2017/02/05(日) 21:34:34|
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