このところ洗浄作業や測定作業ばかりやっていたので特にブログネタもなかったのですが、更新サボり癖がつきそうなので本日は書きます。

79年T140のクランクケースは洗浄の甲斐あってキレイになりました。洗浄してチェックしてみると、悪くないクランクケースでした。ここ2週間ほどで来店された方は見たかもしれませんが、とてつもなく汚かったクランクケースです。オイル染みが結構ありましたが、根性の手洗いでキレイになりました。逆に私の手はものすごく汚くなりましたが。

79年のT140のクラッチダンパーです。なんとなく中身が想像できます。

スルーボルトのタイプなので、カシめてあるところをギリギリまでエンドミルでかっ飛ばしておきます。

ドリルで軽くセンターに穴開け。分解前にこの作業をやらないとプレート側のネジ山が痛みます。

クラッチダンパーは予想通りのコンディションでしたが、インナープレートはあまりダメージがなかったので良かったです。スパイダーは惜しくも交換。

プレートはタップで修正。アメリカインチのタップダイスはIRWIN製を使用しています。さすがはスナップオンに供給しているだけのことはあり、切れ味最高。

クラッチのガタを取る作業の前にメインシャフトのブッシュがなくなっていたので交換。上側の薄皮一枚しか残っていませんでした。

スラストのワッシャーも楕円になっておりましたので交換。酷いなコレは。

かくしてガタなしのクラッチ完成。これまた切れ味最高のクラッチになると思われますが、このT140のオーナーは初めてトライアンフに乗るのでこの切れ味が標準となってしまいます。ぜひともダメなやつにも試乗していただきたいものです。
トライアンフはプライマリー内部がダメになっていることが多いです。ここをシャキっとするだけでも随分と乗り味が変わってくるものです。
最近、作業台の上がモノで一杯になってきたので、整理整頓のためにスチールラックを追加せねばいかんなと思っております。こないだ支払った罰金のお金でスチールラックなんか余裕で買えてたな、みたいなことを思ってみたりしてしまう私は切れ味がイマイチですね。
- 2014/01/31(金) 23:54:09|
- 作業
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一昨日、交通違反をしてしまい、待ち伏せしていたパトカーに捕まってしまいました。自分が悪いのですが、罰金を払うのがとても嫌なので、こないだのオッサンにからまれる事件に引き続き、気分はとても落ち込み気味です。
「警察官の方で、テールランプが点灯しないハーレーを速度もわりとオーバー気味で乗っている人を知っているが、そのへんはどう考えるのか、国家権力よ」 と思ってしまいましたが、弱者はいつも金と権力の前にひれ伏すのがセオリーなので、おとなしく切符を切られ、その日のうちに近くの信用金庫に罰金を支払いにいきました。小物感丸出しです。

エンフィールドはようやく届いたコンセントリック・プレミアを装着し、試運転いたしました。AMALはいろんなものを再生産していて非常にありがたいのですが、供給が悪すぎるのが問題です。急ぎの方はワッセルのキャブをオススメいたします。個人的にはそんなに悪いものではないと思っていますし、外観が少しヤレたエンジンにはワッセルのほうが見た目にマッチするような気がします。なにより価格が安いのがいいです。当然どちらも装着前に要修正ですが。

79年のT140Eはスラッジチューブの清掃をしておきました。相当な量のスラッジが溜まっておりました。オイル交換の重要性を窺い知ることが出来ます。安物クズオイルは禁物です。

マイナスのフタが硬くて外れない時は、やはりこの方法に限ります。

四角にするのに一時間程かかり、非常に面倒なのですが、確実に外せます。当然新品はヘキサゴンタイプを付けます。

T140のスイングアームのブッシュはカジッた跡が。スイングアームのグリスアップは定期的に行ってください。車検もユーザー、普段からノーメンテ状態では後で高くつきます。ちなみにスイングアームの修理は、別体が特に高くつきます。

ボビンも最低なことになっておりましたので交換決定。
スイングアームに関して、構造的に内部に水があまり浸入せず、こんなことが起こりにくいのはは60年代後半のフランジワッシャー内部にOリングが付くタイプのやつぐらいですかね。あと70年代ならトライデントも同じ作りですね。まあグリス切れになると結局は同じですが。その他はT140でも防水性が甘いのでニップルからグリスアップして隙間からブリっとはみ出たグリスを敢えてテキトーに拭き、水の浸入防止ということにするのが個人的には好みです。見た目は少し汚いですが。
旧いバイクは構造がプアなところも多いので、各部の定期的なメンテナンスがロングライフの秘訣です。
- 2014/01/25(土) 23:00:29|
- 作業
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午前中、店の前に停めていたバイクを勝手にペタペタ触っているオッサンがいました。徒歩でたまたま通りがかって気になったのかどうかわかりませんが、とにかく勝手にスロットルを捻ったりしていました。
私 「そのバイクはお客さんのやつなので、触ったりするのやめていただけますかね」
オッサン 「こんなとこにあったら誰でも触るやろ、ここは姫路やぞ、えぇ!」
私 「いや、高いバイクなんで細かい方も多いですし、なんかあったら僕の責任になりますんで」
オッサン 「そんなに大事なモンやったら店の中に入れとかんかい!大体、外に置いといたら埃かぶるやないか!カバーかけて置いとくぐらいせんかい、おぉ、コラ!」
私 「すいませんでした…」
面倒臭かったのでとりあえず謝っておきました。
「謝って済む問題はとりあえず謝っておけ」
サラリーマン時代に得た教訓です。時間の無駄なので。
最後にオッサンは「出直してこい!」という捨てゼリフを吐いて立ち去っていきましたが、私は自分の店の前でどうやって出直したら良いものかと思い、若干気分が落ち込みました。
そのオッサンは私の態度に気分を害したのか、同じ並びで少し西側にある肉屋の前でも、「こんなとこでこんな肉を誰が買うんじゃ、オラ!」と意味不明な罵声を浴びせていました。
毎日どれぐらいの数の罪のない人が事故や病気、災害などで亡くなっているかわかりませんが、その人たちの代わりにあのオッサンが死ぬべきなのではなかろうかと、そのオッサンの後姿を見ながら思いました。そんなオッサンにも家族がいたりなんかして、「普段はあんな感じやけど、アレで意外と優しいところもあるのよ…」 みたいなフォローをするかもしれませんが、その場合、家族もろとも地獄に堕ちて頂くのが適当かと思います。
この世の中からいつまで経っても争い事や戦争が無くならないのが妙に頷けました。
それと、この問答の間にパトカーが低速で横を通ったのですが、こちらを完全に無視して過ぎ去っていきました。いわゆる民事不介入というやつですかね。
さて、それでは作業の内容でも書きますか。

79年T140はフレームの塗装するので全てバラバラにしておきました。やはりオイルインフレーム最高。

サンプはスラッジが相当溜まっていました。最低でも2年に一度ぐらいは開けて掃除しておきたいところです。車検時に清掃がベストかと。

フロントフォークのキャップは溶接跡が。こんなところを溶接してはいけませんよ。ビレットパーツに交換です。溶接修理のおかげでスタッドボルトはハの字に曲がってしまってます。交換しておきます。

エンジンを分解し、この前書いたEXカムを取り出すとブッシュごと抜けてきました。本気ナーバスです。

ヤバ過ぎる減り方です。さぞ調子の悪かったことでしょう。今朝のオッサンのカム山はもっと減っているのではないかと思われます。
「最近エンジンのパンチが無くなった…」と思っている方は、ひょっとしてカムがこんなことになっているかもしれません。
本日は珍事に始まり、カムブッシュが抜けるというオチで終わりました。非常に疲れました。
- 2014/01/22(水) 02:08:24|
- 戯言
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雪もちらつく中、ボンネの試乗は150キロ程走破したので、最終確認をして返車出来そうです。
79年のT140は本日腰上を分解。

先祖の呪いか悪霊のたたりかわかりませんが、またもやヘッドが外れない現象に出くわしました。ですが前回の教訓を生かしてソッコーで外しました。一回しか使わんだろうと思っていた道具が早くも活躍。コンポジットのヘッドガスケットのファースト開けは意外と大変です。

トップリングは粉砕していました。白煙も相当出ていたことでしょう。

シリンダー縦傷があり、クリアランス17/100ミリなので020オーバーサイズに移行。

酷い以外の言葉が見つかりません。オイル管理も悪かったようですね。

汚い。明日以降で分解します。

ちょっとわかりにくいですが、EXのカムが極悪な摩耗で、画像を撮り忘れましたがタペットも当然アウト。

腰上だけのつもりが、結局腰下まで全分解決定。タイミング良くオーナーが来店し、どうせエンジン降ろすならということでフレームも再塗装決定。
基本的には何も期待していません。エンジンだろうが、ミッションだろうが、車体だろうが。というかこの仕事に関するあらゆることに期待するのはやめようと思います。なんてネガティブなやつなんだと思われてしまいそうですが、全力でポジティブ故に期待していないのです。同業者の中にはそういう考えの方はたくさんいると思います。
- 2014/01/20(月) 00:47:28|
- 作業
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外は日中でもめちゃくちゃ寒いですが、50キロほどボンネの馴らしを行いました。

馴らし中なのであまり回転を上げずに走行。結構ストレスが溜まる走りを延々と続けます。前方がら空きで後続車に煽られても歯を食いしばって一定の回転数で走っております。
画像はサンプのチェック中。特に問題なし。一晩置いておきますかね。オイル漏れ等も無く良い感じです。工具をポケットに突っ込んで、途中セッティングを出しながらの試運転でしたが、マークⅡの32ミリが想像していたよりは決まったので一安心。あと100キロぐらいは馴らし走行し、問題なければ返車いたします。

こちらは昨日入荷したT140。とりあえず外装を外し、汚い配線を引っこ抜いてゴミ箱に叩き込んでおきました。全体的にヤレておりますが、これからいい感じに仕上がっていく予定です。
ただ単に汚いのと良い味が出ているのを混同しがちですが、私自身は汚いバイクがあまり好きではないので、予算の範囲内で良い味路線で行きます。
- 2014/01/16(木) 23:08:52|
- 作業
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若干遅れが出てしまいましたが、ボンネのエンジンは組み上がりました。シリンダーまでは組んであったので、一気にフィニッシュまでいきました。

車体側が純正でないところが多いので、若干苦戦しました。オイルタンクも純正ではないので、リターンのオイル量を考えて、改造オイルホースを設置。勿論オイルプレッッシャースイッチも増設。点火を見ている最中にコイルが片側死んでいるのを発見してしまったので、仕方なく交換しましたが。
エンジン始動して最初の馴らしを終え、明日から寒いですが試乗に移っていこうと思います。
各部の配線がラフなところもあるので、電装系の各パーツを含めて後々改善していくと、より良いものになると思います。
エンジン好調で外装も割とキマっているのに配線が少しラフだなと思うバイクは結構多いです。意外と出先のトラブルは電装関係が多いような気もしますし。見えるところではないので、みなさんあまり気にしていないように思われますが、乗り物が調子良く走る要素の半分は電気が占めていると個人的には思っています。別にバイクに限らずクルマでも飛行機でも半分は電気の力で動いています。
長距離を乗る時は前もってバッテリーのチェックなどを忘れずにしておきたいところです。
- 2014/01/14(火) 00:15:02|
- 修理
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最近、夜遅くまで作業しているので、ついついブログを更新する時間も遅くなりがちです。滅茶苦茶に忙しいわけではないのですが、ひとつひとつの作業に意外と時間がかかってしまい、結果遅くなってしまうので、もう少し効率をあげていかねばと思っている毎日です。

手前のシリンダーはT140ESのものなのですが、実は去年の12月初頭に腰上を分解したものの、ヘッドがシリンダーから外れず、四苦八苦しておりました。とりあえずシリンダーごと外して去年の内になんとかヘッドが外れればいいなと思っていましたが、外れないまま年を越してしまい、正月はかなりモヤモヤした気分でした。1か月かけてようやく外れたのですが、疲労感が達成感を完全にオーバーラップしています。

ヘッド単体になったので、ようやくバルブ周りのチェックや洗浄などが出来ます。
なぜそんなにヘッドが外れなかったのか。最初はコンポジットのガスケットが経年で相当張り付いているのかと思っていましたが、実はそうではありませんでした。過去の整備で行われたのか、はたまた工場出荷時でそうなっていたのかはわかりませんが、ヘッドボルトにロックタイト高強度が塗られており、更にネジ山からはみ出たロックタイトがヘッドのボルト穴の内側壁面にベットリ付いてヘッドボルトと完全に固着していました。特にセンター5/16部分が酷かったです。見事にヘッドボルトも4本損傷しました。
普通に考えて、ヘッドボルトにロックタイトを塗ること自体おかしいのですが(増し締めができませんし)、何も考えずに塗ってしまった人がいたのでしょう。
過去に行われたデタラメ整備や、やっつけ仕事の痕跡が最終的に専門店に呪いのように廻ってくるのですが、非常に大変です。
さて、現車はまだ当店にないのですが、年明け一発目にもう一台T140をご成約いただいき、そちらも春までには何とか納車しようと思っているので、毎日悩ましいですが、ハイペースで頑張っていかないといけません。
トライアンフに関して言えば、年々良い出物は少なくなってきていますし、値段もジワジワと高騰しておりますので、興味のある方は、早めにゲットするのがお得かと思います。
まして生産が既に終了しているバイクです。良いコンディションのものがいつまでも同じ価格で存在するわけがありませんので、良いものが出てきた時のスピード感が大事かと思われます。
- 2014/01/11(土) 01:06:22|
- 作業
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本日、年末に注文していたパーツが届いたので、作業中のバイクを随時進めていこうと思います。
届いたパーツの中でちょっと気になった一品をご紹介。

80年以降のT140リヤブレーキホースのリプロパーツ。上側は届いたままの新品の状態。下側は元の古いパーツからカールコードだけ移植した新品。

純正のカールコードは樹脂で出来ており、車体を傷付けず、尚且つブレーキラインも保護。

リプロの方は針金というかバネを巻いたような感じで車体の塗装なんかを傷付けてしまいそうです。

何か作りもゴツいな…。当たり前ですが、右側の元々ついていた古いやつのほうがシャープでかっこいいです。ですが、NOSのブレーキホースなんか使いたくもないので仕方ありませんね。

取り付けた状態はホースがヘビのようにクネクネなりますが、コレが正規の取り回しです。ステンメッシュホースにしてバンジョーも角度付きのやつを使うともう少しマシにはなりますが、車両によっては雰囲気をブチ壊す可能性がありますので要注意。
こんな風に、純正とはちょっと違うな、みたいなパーツも存在しますが、パーツがあるだけマシなんですよ、ホントに。注文すれば一応ちゃんと来ますんで。国産のマニアックなバイクとかだとこうはいきませんからね。英車はパーツにはとにかく恵まれていると思うので、永く乗るにはとても良い乗り物だと思います。ガッデムパーツも時々ありますが、何とか頑張って取り付けれる状態にするのが私の仕事だと思っていますので、苦戦を強いられながらも日々闘っております。時々心が折れそうになってしまうのは仕方ありませんが。
- 2014/01/07(火) 22:57:23|
- パーツ
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新年あけましておめでとうございます。旧年中は色々な方に大変お世話になり、私一人の力では年を越すこともままならなかったと思います。皆様、本当にありがとうございました。今年も期待を裏切らぬようにより一層頑張っていこうと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。
年末はイギリスのパーツ屋がクリスマス休暇でパーツを送ってくる気配がなく、案の定、去年中には届かなかったので、年始から外注に出す予定の作業や洗浄作業など、地味なことばかりやっていました。

ウォーターブラストなどでも綺麗になりますが、クランクケースの本来の梨地の風合いを出すには手でゴシゴシと洗うのが一番かなと思っています。あまり綺麗になりすぎると車体とマッチしなくなるのでコレぐらいがいい感じです。スレッド部分も一通りチェック。

ボーリングに出す前に耐熱塗料にて塗装。上部のヘッドのベース面は面研。スリーブが打たれているところだけベース面より低くなっていたので、均一になるまで研磨しました。ヘッド側も少し歪みがありましたので、面研して修正。

メガサイクルを組んだボンネの方はパーツが来ないことにより、作業が止まっていますので、始動に備えてオイルタンクの中を清掃しておきました。
他にも年末から測定や洗浄などの細かい作業をたくさんやりましたが、画像もないので本日のブログはこの辺にしておきます。
では皆様、重ね重ねではありますが、本年も何卒よろしくお願いいたします。
- 2014/01/05(日) 21:05:27|
- その他
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