年内の営業は12月30日まで、年始は1月4日から営業させていただきます。
よろしくお願いいたします。
- 2013/12/28(土) 21:54:59|
- お知らせ
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先日ブログに書いたユニット650のエンジンはフルO/Hすることになったので、とりあえず分解しました。

過去に一度はクランクまで分解されていますが、いつ、どこで、誰がやったのか、履歴がわからないエンジンは何が起こっていても不思議ではありません。

オルタネーターのローターはガタが出ており要交換。こいつが原因でプライマリーの中がグシャグシャになったという話を聞いたことがあります。事故につながりますので要注意。

インターミディエートのスピンドルは手で簡単に抜けました。おそらく以前から緩かったであろうと推測出来るぐらいの緩さ加減。前回このエンジンを組んだ人は確信犯か!?

当たり前ですが、分解時はSSTを使用。散らばっている細かいのはクランクやカムに対する各種当てモノ。


例によってクランクケースセパレーターを使用します。ハンマーで叩いて外すのはナンセンスなので、ここはスマートにいきます。

チョイとユルいな、オイ…。

カムブッシュは思いっきり回っていました。軽く叩いて抜けるレベル。
腰上を分解した段階でコンロッドの動きが少し渋かったのですが、そのままでもイケるんではなかろうかと若干思っていました。しかしやはり腰下までやっておいて正解でした。過去の履歴がわからないエンジンは開けてビックリが付き物。
とあるスーパーカーマニアの人に、「あなたが中古でフェラーリを購入したら、まず一番最初に何をしますか?」と聞いたところ、「信頼出来る整備工場に持ち込んでエンジンを降ろし、徹底的にチェックする。それからじゃないと怖くて乗れない」と答えたそうです。
フェラーリとトライアンフでは次元が全然違うのではないか言われてしまいそうですが、全くもって当てはまらないということもなさそうです。
- 2013/12/27(金) 01:29:50|
- 修理
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作業進行中のT140ESは元々UK仕様で、当然UKハンドルがついていたのですが、純正UKハンドルのままではハンドルからトップブリッジまでのブレーキホースが結構曲がりくねった状態でしか取り付けできなかったりするので、USハンドルに交換して納車する約束でした。

73年以降のUS仕様にずっと使われているので、当然ですがオイルインフレームとのマッチングはとても良いです。
しかしそれはあくまでUSタンクがついているからなのではと思っておりましたが…、

意外とUKタンクにも合います。この前、BRIT BRAT DAY に行った時、70年代のUKタンクにUSアップハンドルが似合うというのは確認しておりましたが、80年代のUKタンクにも合います。
すごいな、このハンドル。USタンクにも合う、70年代、80年代のUKタンクにも合う、大体何でも合うな…。
世の中には星の数ほど色んな種類のハンドルが存在しますが、純正のハンドルでかっこいいのはなかなか少ないです。そして純正ハンドルが欲しいと思って海外に純正ハンドルを注文しても、全然違う形のハンドルが来たりするので、注意が必要です。今回取り付けたハンドルはグラッドストーン製のT140USハンドルですので、純正と寸分の狂いも無いハイクオリティな製品です。
勿論BSAやノートンにもかっこいい純正ハンドルは存在します。ちなみに自分のバイクにはビクターのハンドルを付けています。
ハンドル探しの旅はとても長く、究極の1本に出会うまで長い年月を要しますが、個人的にはこのグラッドストーン製T140USアップハンドルはオススメです。
現在、当店に在庫は御座いませんが、来年早々には入荷予定となっております。
- 2013/12/23(月) 00:36:07|
- パーツ
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キックのリターンスプリングが折れたのと、バッテリーの交換で入庫しております。

個人的にはフロントディスク、リヤはコニカルハブ・ドラムの73年以降の5速モデルが好みなので、この車両は涎ものです。

エンジンのフィンがヤバ過ぎます。特にヘッドがカッコイイ。

ちょっとコイツに似とるな…。

ロッカーボックスインスペクションも長くてカッコ良し。
どうもトライデントには目がないので、ついつい余計なことばかり書いてしまいます。
えー、では作業内容に移ります。

画像ではわかりにくいですが、ギヤオイルは水分混入で白濁しています。主に結露によるものですが、ギヤボックスアウターカバーは上部に小さいエア抜きの穴が開いており、土砂降りの雨だとそこからも水分が入ってしまいそうです。ウエスで拭って出来る限り除去しておきました。キックラチェットのタブワッシャーは過去の修理で爪が折れてしまったのか、ただのワッシャーと化していました。もちろんナットは緩んでいました。

アウターカバーを外しただけですが、チェックする所は軽く10個所ぐらいはあります。当然、全分解、洗浄しています。単純に開けてパーツ交換して閉めているわけではありません。キックリターンスプリングは新品パーツに交換。もちろんタブワッシャーも新品を付けておきました。ピニオンナットは規定トルクで締め付け。防錆のため全体的にグリスアップしておきます。一度開けたら徹底的にチェックして閉めるのがセオリーです。

おっと、オイルフィルターキャップのOリングがはみ出ています。危ない危ない。

なぜかOリングが2個入っていました。テキトーにも程があります。しかもサイズ違うし。

私の所有しているパーツリストは汚い字で落書きがいっぱいです。この場合、フィルターキャップのOリングは24番に該当しますが、25番もOリングと書いてあって非常にまぎらわしいため、間違えて2個入れてしまったのかもしれません。実は25番はクランクケースの合わせ面の大きめのダウエル部に入っているOリングです。24番と25番は全く同じOリングで、ちなみに5速ハイギヤとスプロケットを締める大ナット部分のOリングも同じものです。25番はクランクケースのイラストのところに書いてくれればいいんですが、英車の場合、トラップはいつも近くにありますので仕方ありません。
「平ゴムワッシャ」「?」と記入されていますが、オイルフィルターに最初から貼り付けてあるラバーのことですので気にしないでください。

当店は一応トリプル用オイルフィルターの新品在庫なんかもあります。

トリプル用のクラッチ関係のSSTなんかもあります。
「英車はオイルが漏れるし、よく故障するし、たいして速くもないし」 みたいな話をよく耳にします。
知識、技術、文献、工具などが無い人がテキトーに整備したがゆえに余計に具合が悪くなってしまった車両があまりにも多いため、結果そんな風に言われてしまうのだと思います。
一昔前のヴィンテージ・ハーレーもそんな感じだったと聞きますが、一部のショップの懸命な努力により、今ではショベルなんか調子良く走って当たり前、パン、ナックル、サイドバルブも元気な車両が多いです。
当店はトライアンフが中心ですが、そんなヴィンテージ・ハーレーの業界に一歩でも近づきたいと思っています。
- 2013/12/20(金) 00:25:39|
- 修理
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おかげさまで仕事も少しずつ増えるようになり、忙しくさせていただいております。

アメリカからやって来たT100チョッパー。エンジン始動が出来ないとのことなので、とりあえずエンジンかかるところまでということで整備させていただいております。クラッチのすべり改善と、点火、キャブのチェック等必要最小限、ローコストでやっていきます。

表側はクロームメッキされたプライマリーカバー。チェーンテンショナー調整のプラグ部はPTネジが入れられており、クラックが入っています。点火時期のインスペクション窓の三点のネジ部分も一箇所欠けており、アメリカ人の気迫を感じます。

変わってコチラは650。右側シリンダーに何らかの問題があり、片肺気味ということで預からせていただいております。ヘッドが外された状態での御入庫でしたので、実際の症状は確認しておりません。

とりあえずヘッドに関してはエアを吸っているところが発覚いたしましたので、そこの修理とバルブ回りのチェックをしていきます。バルブとガイドは新品なのですが、念のため点検しておきます。

オイル焼けの酷いコンロッド。燃焼室温度がかなり高めの状態で乗られていたでしょうか。エキゾーストタペットのオイルフィードパイプは最初から付いておりませんでした。どこへいったのやら。穴を埋めて、オイル穴なしのタペットにするのもひとつの方法です。コンロッドビッグエンドは左側の動きがかなり渋いです。クリアランスをタイトに詰め過ぎているのでしょうか。まさかキャップナットが緩んでいるのかも、というネガティブなことも考えてしまいます。

シリンダーは右側だけがクロスハッチが完全に消えており、円状の跡が無数についています。新品のオイルが入っているのですが、左側に比べて右側のシリンダー壁に付着しているオイルは真っ黒です。かなりハイペースで削れています。シリンダーもつい最近ボーリングしたそうですが、少しエンジンをかけただけでこの状態です。何かが相当おかしなことになっています。過去にスリーブ打ち替えがしてありますのでそれらを含めて原因を模索していきます。
タペットガイドブロックは、内側にOリングが付くタイプのプッシュロッドチューブに対してそれ以前の年式のものが組まれており、グスグスで全く意味を成していません。

頑張って測定しておりますの図を最後に一枚。
そこらじゅうでエンジンが開いたりカバー類が外れたバイクが佇んでおります。オープンして日が浅いにもかかわらず、当店を信頼して仕事を出していただいているお客様には、ただただ感謝するばかりです。
期待に応えれるように、日々全力でやらせていただいております。
- 2013/12/16(月) 23:44:48|
- 作業
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カムをメガサイクルにした場合、バルブタイミングの計測は必須です。正体不明のカムを使う場合もまた然り。

とりあえず上死点を出しますの図。ダイヤルで行うのが最も正確ですかね。バルタイとは関係ないですが、別体及びユニットの中期までの点火時期調整もヘッドのプラグホールにSSTを付けてダイヤルで上死点を出すとより正確に点火時期をキメれます。

全円分度器の図。人によってはタイミングサイドに付けますが、ロータースタッドに取り付けれるオルタネータスタッドをかわせるSSTを作ってあるので私の場合はコチラ側。まあどっちでもいいんですが。
と、ここまでは普通なのですが、計測し始めにちょっと変なことが。いつも3キーのカムギヤにABCマークを付けてC位置でスタートし、A、Bに位置を修正するぐらいで終わってしまうのですが、このメガサイクルカムの場合、IN、EX共にスタート時でローブセンターが20度ほどずれていました。途中で何かミスったかなと思ってやり直したりしたのですが、やはりずれています。メガサイクルは以前にも組んだことはあるのですが、それよりも大幅な調整が必要のようです。要するにカムのキー溝の位置がちょっと違うということです。今のやつは全部そうなのか、ロットでそうなっているのかはよくわかりませんが。そういえばカムのオイル溝も昔のとは違います。
計算してローブセンターを指定の位置にもっていき落着(簡単に書いてますが相当時間かかってます)。
横着して過去のデータとかでテキトーに組むとえらいことになってしまいます。
エンジン分解前はカムギヤの位置をしっかり確認してから分解しないと、どんなカムが入っているかわからないので、組む時に大変なことになります。

粘土チェック。650は750に比べて色んなところがギリギリな感じです。実はこの前、内燃機加工から戻ってきたクランクをケースに収めると、カムとクランクがギリギリ過ぎたので、仕方なくフライホイールを削り、再度バランスを取るはめになってしまいました。完全に私の確認不足です。チューニングの際は細心の注意が必要ということです。時間ばっかりかかってなかなか思うように進みませんが、気合で頑張っております。
英車の整備は技術や知識も当然必要ですが、強靭な精神と肉体が同じぐらい必要になってくるのではと最近はよく思います。
精度の良い国産バイクとはえらい違いですので、たまに発狂しそうになりますがね。
- 2013/12/14(土) 01:51:56|
- 作業
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明日12/10は19:00に閉店させていただきます。
申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
- 2013/12/09(月) 21:13:22|
- お知らせ
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トライアンフと聞いてデュープレックス・フレームのボンネを想像する方は非常に多いと思います。本日はそんなバイクに乗ってお客様が来店されました。


説明不要のカッコ良さで、どの角度から見てもやはり美しいです。デュープレックスのボンネ、トロフィーはイギリス本国でもかなり高額になっております。それだけ人気があるということですね。さらにここまでのコンディションになると探すのも難しかったりします。

コンセントリックが眩しいです。具合の悪いモノブロックからコンセントリックに交換することは、どの年式においても好調への近道だと思います。
外装、エンジン、全てがビシッとキマッており、溜息が出ました。とても良いものを見せていただき、ありがとうございました。

話は変わってコチラはT140ESのフロントフォーク。オイルシールの劣化によりオイル漏れ漏れで、インナーチューブも錆びていたので、それらを交換しておきました。オイルシール部分にサークリップが入る年式ですのでシールはリークプルーフのシールです。その他は特に問題なし。ボトムケースのキャリパー固定ボルトはダブルディスクの場合、右側はUNFでボトムケース側にリコイルが最初から入っています。修理されているわけではありません。左側はシングルディスクのと同じなので、スタッドボルトのナット側はUNF、ボトムケース側はBSFです。キャリパー取付部ゆえにトルクが大きいため、アルミ素材に切られたネジ山を守るためのメーカーのちょっとした気遣いです。完全にどうでもいい情報ですが。どうも巷では当ブログにおけるネジの話は人気が無いようです。

ついでにフェンダーの裏も掃除しておきました。後はオーナーが更なる輝きを求めていくものと…。

オイルインフレームはステムがテーパーローラーベアリングです。あまり痛んでいるのは見たことがないです。コチラもアウターレース共々良好でしたので古いグリスを拭き取ってから無意味にシルコリン・レーシンググリスを塗って組んでおきました。オイルイン以前の年式もテーパーローラー・キットが出ているのでコンバートは可能です。

プッシュロッドチューブ付近とロッカーボックスのオイル漏れ対策、その他チェックのために腰上は分解しています。
で、ハンドルロックのキーが元々なかったので鍵屋に作ってもらうためにステムごと渡したのですが、相当苦戦しているのか丸一日経っても連絡がないです。うーん、フォークが組めません。80年代に採用されハリスまで使われているネイマン・キーのハンドルロックはキーを無くすと相当厄介です。レプリカのキーシリンダーは存在しますが、キーシリンダーはステムを外さないと交換できないですし、鍵屋も苦戦するぐらいなのでキーだけを作るのにも単体部品までバラして鍵屋に持ち込まないとキー製作が難しいかと思います。むしろメインキーより大事に保管しないとダメですね。
因みにこれ以前のユニオン・キーのタイプ、それより古いフレームのネック部に差し込むタイプ、いずれもレプリカパーツは存在しますが、加工なしで付いたことは一度もないです。恐るべし英国車パーツ、といった感じですが、もう慣れてしまっているので、「またか…」ぐらいの感じです。
「パーツがうまく取り付け出来ないのは取り付ける努力が足りないからだ」と自分に言い聞かせ、毎日奮闘しています。
- 2013/12/08(日) 00:42:11|
- バイク
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ボンネのクランクなどが内燃機加工から戻ってきたのでボチボチと進めていきます。

スタンダードサイズのメタルからスタート出来るという喜びを噛みしめれるグッドなクランク。

元々入っていたクランクのスラッジチューブのフタは、「何回再使用してるんですかコンディション」でした。ココってこんなに何回も使うものなんですかね?見えないからといってケチるところではありませんので、新しいクランクにはヘキサゴンタイプを付けておきました。すごく当たり前のことですが。

インターミディエートスピンドルは段付き磨耗しておりましたので交換。近年はオーバーサイズのモノまであり、非常にありがたいです。

ブッシュも交換。交換前の状態でスピンドルに付けて回すと恐ろしいほど振っていました。メカノイズ及び歯欠けの原因になります。
一気にシリンダーまで組もうと思いましたが、ちょっと気になるところがありましたのでオーナーに確認を取ってから進めていこうと思います。
全然関係ないのですが、

オイルインフレームのサンプ取付ナットは通常は普通のロックナットですが、何回か脱着しているうちにスタッドボルトが痛んできます。早めにナイロンロックに交換したほうが無難かもしれません。通常のナイロンロックでロック部に届かない場合はハーフナットナイロンロックにしてください。毎回ガスケットを剥がすのが面倒なのでグラッドストーンメタフォームが非常に便利です。
当店はスタッドボルト、普通のとハーフのナイロンロック、メタフォームガスケット、全て在庫ありますという単なる宣伝です。
- 2013/12/03(火) 21:21:02|
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